体験記

高野山 赤松院(Koyasan Sekishosen)に宿泊してみました。

高野龍神スカイライン

高野山なら宿坊に泊まらない手はない

高野山には昔から越後の国は何々院、山城の国は何々院とそれぞれの所縁坊が決まっていた。1832年頃は812の寺院が存在し、明治の廃藩置県や火災などで今日では117ヶ寺、その内宿坊は52ヶ寺となっている。

そしてそこは、今、神聖なアミューズメント施設に変化している。しかもなんと利用者の大半は外国人旅行者なのだ。

宿坊には庭や建築の造り、精進料理、客室、お風呂やルールなどに個性や特長があり、自分達が見ていても楽しい。朝は本堂で早朝勤行に参加もでき、心も体も引き締まる。

今、旅行の目的として「ホテルに泊まる」ということの関心が高くなっている。寝れれば良いという時代は終わった。消費者はワンランク上の快適を求め、さらに上質なサービス提供、「おもてなし」を追求する様になった。非日常体験は重要な条件なのだ。

宿坊にもその要素が多くある。真っ先にそれを楽しんでいるのが外国人旅行者なのだ。

日本は島国なのにクルーズ、船旅経験度が低い。北海道のニセコには世界のトップの雪があるのにスキーやスノーボードは未だに下火。そんな良さを知っているのは、遠くからの訪問者。地元の人間には当たり前過ぎて分からないのかも知れない。

日本人だからこそ、宿坊祝泊をしなくてならない。

赤松院 門

夕暮れの赤松院に到着、外国のお客様が入り口の門前で団欒。

※参考資料、引用:https://www.shukubo.net/contents/stay/

宿坊に泊まるメリット

しんみりな夜と清々しい朝の散歩は、何物にも変えがたい経験になる。

ふざけた話だが、若干の恐怖感もありながら夜の高野山の町を歩くのは身も心も引き締まる。ライトアップされた金剛峯寺や大門そして木々は厳格で風格があり、時の流れを感じ、自分の吐く息も白く、脳内が覚醒されスッキリする。

金剛峯寺から壇上伽藍へ行く細道

紅葉が始まり、夜の冷え込みが激しく人影は少ない

夜の金剛峯寺

夜の金剛峯寺はライトアップされて美しい

この様な場所、パワースポットにあたるところでは、その風景全てが異様だ。ここに神がいないわけが無い。

山から出る太陽は神々しく、森を照らす。大抵の人達は無口で歩く。朝露に濡れた苔が新鮮な緑を発色させている。墓石は何かを伝えようとこちらを見る、凛とした真っ直ぐな大木は私を見下し、道は奥へ奥へと誘う、奥の院の散歩は早朝に。

墓石の後ろから太陽の光

墓石に朝日が射し込む

苔

様々な色濃い苔のアートが

まっすぐに天を突き刺す杉

まっすぐに天を突き刺す杉

宿坊

ホテルや旅館ではなく、参拝者のため、本来なら僧侶のための宿で、心身を清めるためにあるのだが、近年少し事情が変わってきて観光化されている、しかし、基本的にはサービスのスタッフはお坊さん達、修行の一環だ。

作業服で対応するスタッフ?

作務衣、作業服で対応するスタッフ?

なので、心優しいサービス、言葉遣いを求めてはいけないのだが、そこは別の意味で仏の心でおもてなしをしている。彼らなりに一生懸命に努めているが、リッツ・カールトンの様にクレドが存在している訳ではない。ラグジュアリーの追求とは違う。

弘法大師が思い描いた修禅の道場の場、仏教の聖地を知るためには宿坊のサービスでなくてはならないのだ。

赤松院

創立は923年、弘法大師が62歳の時が921年という時系列、1300年頃は赤松家一族の菩提所、江戸時代には細川、有馬家の菩提所となり、現本尊十一面観世音菩薩などが納められている。約2000坪の庭園は広大で幽邃な林泉の美を以って山内第一と称されている。

中庭

中庭のひとつ(全体の間取りがわからないけれど)

1000年を超える歴史、この地でどんな思いで修行して、何を修得、会得したのか?部屋の窓から庭園を覗きながら物思いに愉しむことができる赤松院。

庭園

窓からは見える庭園

玄関にある石庭

玄関にある石庭

※参考資料、引用:http://www.sekishoin.jp/page2.htm

精進料理を味わう

テレビや雑誌などで精進料理という言葉を聞くが、お金を出して食べた経験はない。料理をひとつひとつ見ると小さな頃に祖母が作ってくれた料理、入院した時の献立かと思う節もあるが、精進料理には仏教の戒律に基づいたルールがあり、殺生や煩悩へ刺激を避けることを主眼として調理された料理なのだ。

夕食

夕食、意外にも美味しく、お腹がいっぱいになる。高野豆腐は絶品!

朝食

これで充分、活力が出てくる。

仏教の世界では殺生が禁止なので動物性の食材は禁忌とされている。五葷(ネギ科のニンニク、ネギ、ニラ、タマネギ、らっきょう)などだが、煩悩を刺激し、匂いも強いことから避けられている。今日の日常ではスタミナが付きそうで好まれる食材を食べてはいけないということだ。

原則として植物性の食材を生ではなく、さまざまな下処理して調理をする。時間と手間が掛かる調理技術は多くの料理人や料理研究家に影響を与えている。

食事はみんなでお膳で頂く

食事はみんなでお膳で頂く、障子や襖がオシャレすぎる。

味噌、醤油、豆乳、湯葉、豆腐、油揚げ、納豆などは、精進料理の研究によって生まれたものなのだ。

立地、周辺の観光、寝心地そしてコストパフォーマンス

立地としては奥の院の入口、徒歩圏内で高野山の主要な所へは行けると思う場所。駐車場もあるのであらゆる想定で便利な場所にある。

周辺の観光=高野山、観光だけでも2日から3日は必要だから、暇という時間は考えられない。

寝心地としては、昔ながらの布団。正直、良くはない。日頃の環境が良いのか、贅沢しすぎなのかも知れませんが、身体痛いので幾度となく目が覚める。そして、輪をかけて寒かったので目が覚める。そのたびに、恐怖を感じて目を閉じていた・・ここは個人的な印象からなのだが・・。

コストパフォーマンスは、部屋の質や設備、サービスを普通に考えたら非常に高く感じる筈。しかし、貴重な体験、精進料理を知るなどを考えたら非常に安い。

部屋にはバストイレ付き

この部屋にはバス・トイレ付きなのだが、殆どにはその設備がないかもしれない!

まとめ

すべてを修行だと思えば、我慢出来る。その場にいたら我慢とは思わないのかも知れない。今日は癒し、リラックス、休暇、贅沢になんて思うと的外れな結果になる。要は考え方しだいで物事の見え方が180度変わる。

宿坊は日本人にとって何か大切なことを教えてくれる、必要不可決な場所の様な気がする。結果的にはラグジュアリーなホテルと同じ様な、似た様に癒されて英気と鋭気を頂けるのではないだろうか。

日頃の無駄や贅沢を知る機会になる。情報量が多すぎる時代、モノがたくさんある時代、慌ただしい日々、ゼロにするなら高野山の宿坊は絶好の場所。

行くだけで修行、宿泊するだけで修行になるならこんな徳はない。

早朝の勤行も徳になる。外個人旅行者に伝われば何よりなのだが、日本人より真剣に取り組んでいる姿が妙に心に残る。

なんちゃって評価、参考になれば

2019年11月に体験

  • 価格:体験ということが主体であれば文句なし
  • 食事:大広間での精進料理は楽しい
  • 朝食:勤行の後の食事は格別
  • 風呂:寒かったけど、機能に問題なし
  • 温泉:
  • プール:
  • 部屋:庭側にコタツとテレビ、寝室
  • 設備:必要最低限、ガスストーブ
  • ベッド:布団は清潔だけど寒い
  • キッチン:
  • フリー:
  • アメニティ:シャンプー、リンス、ソープ、歯ブラシ、
  • タオル:あり
  • 浴衣:あり
  • スリッパ:あり
  • レセプション:てんやわんやで、一応良心的に対応してくれるよ
  • スタッフ:作務のスタッフ
  • ショップ:
  • カフェデリ:
  • バー:
  • ランドリー:
  • レンタル:
  • ジム:
  • スパ:
  • コンシェルジュ:
  • シャトルバス:

オススメ度:本当に外国人が多いのでビックリ。ヨーロッパの団体さま!訪問した日がピークに忙しいらしく大変そうだった。外国人旅行者の雰囲気もチェック出来て、全てがとても良い体験でした。4年1度は行きたい場所かもです。オススメ度10点中7.8点です。

お寺の前の夕陽

お寺の前の夕陽

館内の廊下

館内の廊下、迷路の様になっていますよ(本堂は撮影禁止になっています)

 

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