判断ミスが悪化を招く
入院前の診察でこの状況を説明すると、狭心症からランクアップされ心筋梗塞という診断結果に変わりました。とにかく、その様な状態になったら動かない、歩かない、迷わず救急車を呼んで病院に駆け込む事が重要らしい。
ニトロペンを頂いてから2泊3日で関東方面でゴルフをすることになっていました。中止する判断も出来たのですが、自分の卒業祝いも兼ねていて間際のキャンセルも難しく強行、そう、自分はこの病気をその程度に考えていたのです。この病状の対策として暑い所では脱水症状が危ないので、とにかく水分補給で苦しかったらニトロペンを口に、寒ければ暖かい格好をする様に伝えられていました。血管は気温と体温の暑い寒いで伸縮し、血中の水と酸素量が重要らしいです。
2泊3日でゴルフへ行った仲間が熱中症で緊急搬送で、晩餐会後は妙にみんなが疲弊。しかし、自分には身体を休める絶好のチャンスだったともいえる。呑み明かし、体力不足で熱い太陽に晒されていたら、一気に落ちていたかも。
もう一つに救急車を呼んだ介護の仲間の意見を聞いていると複雑なインパクトが残っていた。自分が救急車を呼べなかった理由のひとつだと思う。
自分の身体の状況が分からない不安感
何はともあれ、検査と治療のための入院。既に疑いもない狭心症、心筋梗塞なのだ。後はどの程度の病状なのかということ。入院の翌日にはカテーテル検査になる。
説明では、まだ若いのであまり心配は必要はないと思うけど、酷い場合はバイパス手術の対応になりますと告げられた。カテーテルを右手首から入れ、要する時間は90分前後。何かが起こる可能性もあるが極めて冷静にこの状況を受け入れられている。
展開は予期せぬ方向へ
先生の始めますの声で、手首に麻酔を打つ痛みが走り、次にその部分に水を掛けられた様な濡れた感じになる。部分麻酔のカテーテル手術の患者は、何をどのようにどうしてという状況は掴めないが、意識がハッキリしていて、先生方の声もある程度聞こえてくるので交わす内容によっては若干の不安も感じる。患者の身体は固定されているが多少の動きができる状態にありるが、動いてはならないことになっているのだが・・。約90分間、頭の中はあれこれ考え事をするしかなく、ジッとしていることや、痒いところが発生すると少し動きたくなる衝動に駆られる、動くなっていうのはどの程度か知りたいと思うのだが、本当に動けないのなら縛り付けるはずだからと、頭の中は葛藤している。
カテーテルの先端が心臓の近くまで到達するのは本当にあったと言う間である。先生が造影剤を入れますと言った瞬間に胸が熱くなる。これはヨード造影剤というものを血管に投与して臓器の陰影を強調しているらしい。
残念ながらリアルタイムに自分は画像を見ることは出来なかったが、3つのセンサーらしきモノが心臓部分を上から左右に展開されて立体的に画像を見ているらしい。そんな中、不穏な空気が流れる。先生同士の会話がなかなか聞き取れない!そして、言葉が自分へ向けられた、「想像以上に悪いので対応について別室で協議するので少し待ってて下さい」とのこと。ヤバっ!しばらくして、戻られると、今回は検査のみで今後の対応について一度お話しましょうとのこと、自分はそれを受け入れるしかなかった。
検査の結果は?
検査後、先生に呼ばれ状況説明と今後の対応について協議です。前述の通りの状況で、右冠動脈と左冠動脈2本とも狭窄そして1本には血栓がありました。画像では、もう殆ど閉塞状態です。一本については血栓のほかに3箇所がそんな状態に。三枝に障害、そのうち2本は99%の狭窄箇所が数カ所で血栓もあり、1本も75%の狭窄状態。この場合、バイパス手術が基本の選択になることが多いらしいのだが、今回のケースは何度かに分けて手術をすることになるがカテーテルでもいけるらしい。ほか、細々と説明を受け、決断するのは自分自身だったのだが、カテーテルを選択。
入院前には個室をお願いしていたのですが生憎満室で、初日は4人部屋。自分は殆ど寝ることが出来ませんでしたが、翌日からは個室、シャワー付きをゲットすることが出来ていました。残念ながら3泊4日程度の入院かと思いきや、いつ帰られるか分からない状況になってしまいました。
動脈にカテーテルを通すので、終了後は手首のその部分を圧迫して止血をしなくてはなりません。完全に止まるまでには6時間から7時間程度必要です。圧迫なので麻酔が切れると痛みも感じますので若干辛く、術後は点滴も打たなければならないので慣れないと身体を動かすことも面倒くさいです。
・・ということで、最悪の状況なので、部屋に戻ると絶対安静の状態に変更され、部屋から出ることも出来ず、心電図の測定は24時間体制になり、血栓を溶かす点滴は倍増です。以降、頭は痛くなるは暇になるし、精神的にも追い込まれ無気力な状態になり、こんな状態が1週間程度続いて手術になります。
今度の手術は、カテーテルを足の付け根から入れることになりました。この場合は患者は手首よりも負担が増えます。止血の圧迫では腰の辺りをバンドで抑えられ身動きが7時間も取れません。その間はトイレにも行くことができないため、膀胱に管を入れなくてはなりません。この経験は男性は痛みや恥ずかしさがあり本当に辛いです。また、緊急事態に備えて体毛の処理もしなくてはなりません。手術の時間も90分から120分へ、長くなる想定です。
カテーテル手術 冠動脈1
ストレッチャーでの移動はこれから手術するって感じが、ありありでした。
手術はすこぶる順調、足の付け根の方が手術はやりやすい様ですが、3箇所にステント、他に2箇所ほど血管を広げたようで、想定時間よりも少し長い時間を要してしまいました。
検査の時にBGMが流れて、手術室からの帰り際に「BGMを聞きながら仕事するんだね?」と女性に声を掛けると「そうなんです!」、「リクエストって出来るの?」、「なにがいいですか」、「ブルーノ・マーズで」、「大ファンです!」、この手術の時のBGMはブルーノ・マーズでした。粋な計らいに感謝です。
お陰様で術中に違和感もなく終了することが出来ましたが、足の付根に刺したカテーテルを抜くと同時に自分の股間にあった前張りも消毒するために一気にビリビリと剥がされます。これはいろんな意味で罰ゲームで、自分は何をすることも出来ません。こういうのは意識のない時にして頂くのが最善だと思います。
術後に7時間の身動きせずに寝ていると、腰に負担が掛かりジワジワと痛く、寝返りは枕はを身体に挟む程度。2時間おきに圧迫を少しづつ弱くするのですが、手術中よりも身体は辛く、排尿も違和感があり大変でした。
でも本当は、当日の早朝に心臓に違和感があり、発作が発生していました。ニトロペンに似たような薬を頂いて一度は効いたのですが、1時間後に再び発作が発生し、その時には思うような効果がありませんでした。時間が早く主治医の先生が不在の中、薬はもうこれ以上飲めず、手術を早めるかどうかなどは先生の判断という状況。もしかして、手術の時間まで身体がもたいのか?と不安になったりしていたので、腰が痛いとか腹が減ったとか、排尿に違和感とかは生きてる証なんだなあと、つくづくと感じている時間でもあり、今後の生き方を考える貴重な時間になったのです。ご飯は、寝ながら食べられるパンやおにぎり、食べられるだけで幸せ。
まる2日経つと、身体は順調に。歩ける距離も伸び、やっとシャワーも解禁になります。検査後からはシャワーも禁止になる始末でしたからもう開放感満載です。
カテーテル手術 冠動脈2
一度退院して、2週間後にもう一本を手術、これも99%詰まっています。そもそもの原因は何か?病状で言えば、高血圧と糖尿病なのですが、通院している病院から薬を頂いて血圧は130前後・80前後、HbA1cは6%の後半から入院の頃は7%へ突入し始めていました。根本的な原因は分かりませんが、生まれながらのそんな体質なのかなあとか、運命とかと感じています。
今度の手術は左手手首からのカテーテルなのですが、これがまた大変らしかった。いつもどおり心臓近くまでは簡単に到着したらしいのですが、どうやら自分の心臓界隈の血管の造りが皆とは違うようで、左腕から心臓近くへ到達して冠動脈へ移動しようとすると血管の入り口が血液の逆流方向にあるらしく、なかなか入らない。終わったあと、今回の手術の時間の大半はそこで費やしたと言っておられました。
自分の身体は最初の検査同様のパターンなので疲労もなく問題ありませんでした。BGMももちろんブルーノ・マーズで、術中の先生の苦戦は伝わって来ていたのと、声掛けでも状況を説明してくれて「せっかく開けたので無駄にならないようにがんばります!」は、その苦労を知らない自分には十分に安心を与えてくれていました。
事件が発生!カテーテルのあとの血が止まらない
検査後から自分は血管を広げる薬1錠と血液をサラサラにする薬を2錠飲んでいるからだと思うのだが、お約束の7時間後の時に止血のエアのベルトの空気を抜くと血がドバっと流れてくる、看護師も慌ててベルトにエアに入れる。この圧迫が2時間の延長になるというのは睡眠にも影響が出る。
そして2時間が経ち、再びベルトのエアを抜くと・・おいおい血が止まらね〜!看護師は、慌ててエアを入れ先生に確認をしますと病室を出ていく。マジカーーと自分の身体どうなっているの?とつくづく恨む感じなのだが、やがて看護師がもどってきて「2度目で止血出来ない場合は朝までバンドをします」絶望的な一言を発する。
ここの病院の先生は若いのだが、いつ休みを取っているのか心配なるほど働いている。しかも、検査や手術を何件もあった日に「止血が上手くいきません」と夜中に電話されたらたまったものではない。それこそストレスで病気になるのではと思う。
ところで、自分はどうなるの?我に帰り看護師に「本当に止まっていないの?」と聞いたら、「もう一度エアを抜いてみますか」と意外な発言と行動にでてきた。もう一度、恐る恐る抜くとなんと「アレッ?」血が止まっていた。嬉しいやら何やらで、夜中に起こされた先生には申し訳けないやら。この後は安心感で爆睡だった。
中編の結論として
数多く患者と向き合っている先生でも、最終段階の検査をしてみないと本当の病状は分からない。自分たちが日頃から出来ることといえば自分の身体に関心を持ち、変なプライドは捨てていつもと違う症状の時は休むそして病院へ行く、日頃の状況をメモすることで先生に的確に伝わるのでメモをとる(これはかなり自分を救うと思われる)、状況の変化にもプラス思考で対応することで、前向きで楽しく生きられるコツなのだ。
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